建築の錬金術 シーズン2

2015年上半期に開催されたシーズン1の物語性と構築性に加え、シーズン2では‘プロジェクション’というキーワードがコンセプトに掲げられた。ここで言うプロジェクションとは、映像投影の意味だけでなく、企画化(プロジェクト)、展開(プロジェクション),加えて、本来は錬金術用語の‘変換’をも意味する。

対象地を引き続き文京区本郷の菊坂。街路の表層に現れた内部を投影する映像の制作、また、その映像を他メディアに変換することを、コラージュ、ブリコラージュ、そしてアサンブラージュの手法他を加えながら表現する実験的な試み。映像によって自分の内面にある動機や主張をより明確に示してもらうことが目的だ。

参照したのは、当地に関するもの、例えば中沢新一のエッセイ『アースダイバー』、岡本かの子の短編小説『金魚繚乱』、溝口健二監督『折鶴お千』、成瀬巳喜男監督『晩菊』、森田芳光監督『それから』他、そこから各参加者の連想を発展させたものが取り込まれていった。

参加者には、建築系の方にとどまらず、アーティスト、英国の美術アカデミー、映画学校、美術大学の建築専攻出身者、都市プランナー、また制作経験のない方も加わり、積極的・野心的、アーティスティックなプロジェクトが続出。参加者はヨーロッパ、アジア出身者を含め多彩で、制作未経験者も自然な流れに沿いつつ、やがて感性を覚醒させ映像および建築作品に到達した。CATの刺激的でクリエイティブな環境が創造力を触発することを再認識した。

映像作品の一部はこちら:

地上から逸脱して、宙にぶら下がる(I. Eriko)

蝋燭に灯をつけ、それからまた、じきに眠ってしまうまでの物語(S. Tomoko)